2010-09-12

Apple「iPhone 4」SIMロックフリー版を個人輸入

今年6月のiPhone 4発表直後から、SIMロックフリー版のiPhone 4を入手しようと思い立ち、以前からPDA等の入手先として気にかけていた通販ショップの eXpansys に目を付けた。
ここは香港を物流の拠点としているが、販売先は世界各国に渡っており日本語の専用サイトも設けて日本語でのサポートも行なっており、円建てでの決済を扱っている。通常、香港経由の業者に注文すると物理キーボードが中国バージョンのモデルになったりすることがあるが、eXpansysは通常英語版のモデルを扱っているようだ。
入手までには色々葛藤もあったがその内容は後述するとして、9月上旬ぎりぎりに手にすることができたので、初期化の様子等を書き留めておこうと思う。

〈microSIMの入手〉
このiPhoneは通話に利用するつもりは無く、通信はWi-Fi専用で外出時は既にiPod touchで利用していたイーモバイル社のPocket WiFiを流用することにしていた。
しかし、ネットを徘徊するうちにiPhoneのアクティベーション操作には少なくともiPhoneに装着できるmicroSIMが必要であることが判った。
そこで、またまた通販業者を物色してiPhone 4で利用可能なアクティベーション専用のSIMなる商品を購入した。残念ながらmicroSIMではなく一般的にSIMと呼ばれるminiサイズのSIMなので、iPhone 4に装着するにはmicroサイズへの加工が必要だとは認識していたが、その頃にはネット上でも大胆にハサミでSIMをカットした事例も出現していたし、いざとなったら参考にしみるかと入手したまま放置していた。

そうこうしているうちに、8月に入ると日本無線からiPhone 4向けのmicroSIMを発売する予定との電撃的な発表があった。最初はサービスの内容がほとんど皆無と言っていい程に何も明確にはされていなかったが、正規のmicroSIMが入手できることは明白だったので、事前予約にとりあえず飛びついてみることにした。
この事前予約は、正規の予約が始まった時点で優先して受付処理をするというだけで、購入を確約しなくても申込みが可能だったのでまずは応募してみたと言うわけだ。
フタを開けてみれば、microSIMには2種類の商品が用意されていることが明らかになった。一方は、通話が可能で通信速度がサービス毎にチューニングされるtalking b-microSIM。他方は、通話が不可で従来のMVNO同様に通信速度が300kbpsに制限される b-microSIM U300 である。
自分の目的はiPhoneのアクティベーションに使うことなので、3G通信はお試し程度に考えて、1カ月間利用のb-microSIM U300を購入することにした。

〈iPhoneのアクティベーション〉
香港から到着したパッケージを開封してみると、アップル社製の外箱の他に日本のACコンセント用のアダプタが同梱されていた。注文時に記載が無かったのでアダプタを期待してはいなかったのだが、外箱を開けてiPhoneと樹脂製トレイや小冊子の小箱を取り除くと、イヤフォンとDockケーブルの他に中国用3ピンタイプの巨大なUSB充電ACアダプタが出てきて失笑してしまった。
既にUSB充電アダプタは ELECOMの製品 を購入していたので、同梱のアダプタはお蔵入りである。

まずは、母艦のMacBook ProでiTunes 10を起動してiPhoneをDockケーブルで接続してやると、SIMが装着されていない旨の警告メッセージが表示された。
早速ケーブルから外して電源を切り、付属のツールでSIMトレイを開けにかかった。しかし、このSIMトレイの固いこと…(笑)。頼り無げな付属ツールの割に、少々気合いを入れて力を込めないとトレイが出てこなかった。少々心配になって、付属の小冊子を見直してしまったぐらいだ。
何とかトレイを押し出してから、microSIMの端子に指で直接触れないように注意しながらトレイ内に収めて、再びiPhoneに装着した。
電源を入れずにそのままケーブルに接続すると、自動的にiPhoneが起動してアクティベーションが開始された。
程なくしてアクティベーションは無事終了し、iTunesとの同期が可能な状態になった。
輸入品とは言え、iPhoneはアクティベーション時に使用したiTunesの言語環境に追従して自動設定されるようになっているので、言語環境や時間帯の設定も日本仕様になっており、その点で手間が掛かることはなかった。ただし、ビデオ出力の方式がNTSCではなくPALになっていたのが唯一の謎である。

基本的にできるだけ純粋な環境から始めるのが好みなので、Mac側のアカウント等の設定も同期させず、既にiPod touchで使っていたアプリやミュージック、ビデオ等も最初は使わずにスタートしたので、スッピンのiPhoneがやってきた感じ。
初期のiOSは4.0.2で、既にiOS 4.1の配布が開始されていたが、初期の設定はアップデート前にやってみることにした。

なお、通話が不可能なb-microSIMを利用しているので電話機能は使えないが、モバイルデータ通信の設定をオンにしてやると開通手続きはしていないものの回線の種類は認識するらしく、ステータスバーのアンテナ表示は0本立ちでキャリア名が「NTT DOCOMO」と表示される。残念ながらフルで表示するだけの幅がないので、最初に右方向へスクロールした後に「NTT DOC...」と省略表示になってしまうところが少々情けない。
モバイルデータ通信の設定をオフにしてしまえば、アンテナ表示も消えて単に「圏外」の表示になるので、あまり気にすることでもないが。

〈iPhone 4 ケースプログラム〉
電波問題に端を発したアップル社によるiPhone 4用ケースの無償提供プログラムだが、つい先日のこと9月30日までで終了することが発表されたようだ。それ以降は、個別に通信品質の問題の申告を受け付ける形式になるらしい。
試しに今回入手したSIMロックフリーのiPhone 4で専用アプリをダウンロードしてみたところ、全く問題なく無料のケースをオーダーすることができた。
まだケースは到着していないので最終的にどうなるかは未知だが、恐らく通常通り入手することができそうだ。
アップル社が扱うケースなので,incaseやGriffin等の海外メーカー製ばかりなのがちょっと残念ではあるが、そこそこバリエーションもあって悪くはない品揃えである。

〈iPhone入手までの経緯〉
最後に、香港から個人輸入するまでの経緯を書いておこう。

ともかく物欲気分が盛り上がってしまったので、6月中頃には注文をして、入荷次第の発送になると言うことでおよそ1カ月後ぐらいには手に入れたいものだと考えていた。その後、円高が進んだため当初9万円前半であった本体価格が為替レート反映で徐々に下落して9万円を割るところまで行ったのだが、困ったことに納期は順次延期されてとうとう7月の下旬に至って、9月の中頃まで入荷の見込みなしとの通知を受け取ってしまった。

世間ではiPhone 4が順調に売上げを伸ばしていて、例の電波問題の件もあって色々と話題になっていたが、こっちは覚悟を決めるしか無いと考えて入荷を待ってみることにした。
それから1カ月程して確認の連絡を入れると、どれだけ確信があるのか不明だが9月には予定通り出荷するとの返信が来た。
その頃には他の業者でもiPhone 4があちこちで扱われるようになり、秋葉原を始めとする国内の店舗でも入荷情報が見られるようになっていた。しかし、大抵は10万円を軽く越える価格を付けており、その頃の為替レートを考えると数万円はマージンを取っていそうな雰囲気で、とても手を出す気にはなれなかった。

そして9月上旬のある日のこと、予告より1週間程早く出荷の通知があり、現地を夕刻に出発したと思ったら翌日には通関を済ませ、翌々日の午前中には我が家へと到着した。
結局、最初のオーダーから実に3カ月近くの待ちとなったわけだが、どうやら初期不良もなく無事購入劇は終了したのであった。

7 件のコメント:

  1. k.inoueさん、いきなりのコメントで失礼いたします!
    神戸に住んでおります、Reggiano50と申します。
    私もiPhone4をiPod Touchのように使いたいと思っており、そのような方がいないか探している中で、こちらへたどり着いた次第です。
    現在はAU携帯+Pocket WI-FI+iPod Touch(第3世代)という環境です。
    私の場合はイタリア在住経験があり、向こうに友達(イタリア人)がおりますので、TIMというキャリアのショップに勤めている人にSIMロックフリー版を送ってもらうつもりです。
    日本国内では通話ナシでiPod TouchのようにWI-FI環境で使用し、またイタリアや海外では現地SIM挿入で通話もしたいと考えております。
    アクティベーションの方法について大変参考になりました。
    ありがとうございました。
    私も①b-microSIMを購入するか、②イタリアTIM社のSIMを同梱してもらうか、③日本でiPhoneを持っている友人にアクティベーションする時だけSIMを貸してもらうか、を迷っております。
    ①と②はお金がかかりますが、確実にアクティベーションできますよね。②はプリペイド式のSIMをお願いすれば、イタリアに行ったときにもチャージすればすぐ使えますし。
    要は3Gがオフラインでも、何かしらのmicroSIMを挿しておけば、iTune経由でのアクティベーションは可能ということですよね?
    ③は情報がイマイチ未確認でよく分かりませんが、何か情報はお持ちでしょうか?
    友人のSIMを挿入して、仮に最初のアクティベーションが問題なく完了しても、その後使用していて何か不都合なことがあるのか、ないのか?現在iPhone4をお使いのk.inoueさんのご意見をぜひぜひ伺いたいです!
    長文ですみません。
    よろしくお願いいたします。

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  2. Reggiano 50さん、コメントありがとうございます。
    私の経験の範囲だけになってしまいますが、ご質問にお答えしてみようと思います。

    アクティベーション時のmicroSIMですが、確かに私は開通手続きをしていませんので3G通信はできない状態で実施できたということになります。ただし、microサイズのSIMであれば何でも問題ないかというと、そこは情報を持ち合わせていません。
    別のiPhoneのSIMを一時的に借りる方法ですが、これも問題なくアクティベーションができるはずです。ただし、私もiPhoneのシステムが不安定になって復元する時やバージョンアップの度にSIMを借りるのはかなり不便だと考えたため、この方法は避けることにしました。なお、復元やバージョンアップで常にSIMが必要かどうかは確認していません。

    それと、本来これはb-microSIMを利用していることが原因とは思えないのですが、端末のアクティベーションをして以来FaceTimeをオンにしようとしても「アクティベーション中…」の表示が出たまま次の段階に進めません。米国のボード等を探してみましたが、Wi-Fi接続だけの状態でFaceTimeのアクティベーションに成功した例もあるようで、この件は原因不明のままです。
    私自身はFaceTimeを利用しようとは思わないので支障はないのですが、この機能を楽しみにしている人にとっては大きなマイナスポイントですね。

    あまり役に立たない情報ばかりですみませんが、何か他にも疑問がありましたらまたコメントをいただければと思います。
    では、ご健闘をお祈りします。

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  3. k.inoueさん
    めちゃくちゃ参考になりました!
    ありがとうございます。
    私も間違いなくFaceTimeは利用しないのであまり影響はないと思っていますが、そのような予期出来ない事象が『あるかも知れない』ことが事前に確認出来て良かったです!
    確かにおっしゃるように、復元やバージョンアップの度に友人に借りる必要があるかも知れないとしたら、ちょっとお互いにしんどいでしょうね・・!友人も音声通話など携帯電話としてiPhoneを使用していますから、何度も言われると非常に面倒くさいと思われますし。
    その辺りの情報や使用感など、また今後もアップしていただけたら助かります。勝手なお願いですが、楽しみにしております!
    また遊びに寄らせていただきます。
    ありがとうございました。
    Reggiano50

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  4. Reggiano 50さん、再びコメントありがとう。
    世の中にはシステムのハッキング等のディープな情報を提供している人も多く、私のような安全策をとって利用している例はあまり役には立たないかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。
    あまりブログを更新するネタも無いかもしれませんが、期待せずにお待ちいただけると助かります。

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  5. k.inoueさん
    たて続けで大変申し訳ございません。
    2点、お伺いしたいことがあります。
    先ず日本通信のb-microSIMですが、k.inoueさんの文を読む限り、開通手続きをしなくてもiPhone4のアクティベーションが出来て、iPod TouchとしてWi-Fi環境で使用出来るということでよろしいでしょうか?また、開通手続きすると何か変わることはあるのでしょうか?
    1ヶ月のが3,000円もしない安価なんだと知って、やはりk.inoueさんと同じくこちらの購入を検討しております。
    もう1点は、iPhoneの電源を一度オフにした場合、次回立ち上げした時に問題や面倒な作業などはないですか?(例えば毎回設定やPassの入力が必要になったりなど)
    お暇なときで結構ですので、ご教授いただければ幸いです。
    どうぞよろしくお願いいたします。
    Reggiano50

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  6. Reggiano 50さん、遅くなりましたがご質問への回答です。

    私のは音声通話に対応していないb-microSIMですが、開通手続き前でもiPhone 4のアクティベーションが可能です。その後、このSIMを装着していても装着していなくても、Wi-Fiで通信ができます。

    開通手続きをしていなくてもSIMには電話番号やキャリア(JP DOCOMO)の情報が書き込まれているので、iPhoneからこれらが参照可能です。なお、SIM内には電話帳が保存可能らしく、本体とのデータ交換もできるそうですが、この機能は試してみたことがありません。

    開通手続き前の状態のSIMで起動すると、ステータスバーの表示がしばらく「検索中…」となりますが、操作には影響がなく、その後本文でも書いたように0本立ちのアンテナ強度とキャリア名表示に変わります。また、モデムデータ通信の設定をオフにしておけば最初から「圏外」の表示で固定されます。
    なお、SIMを装着しないで電源をオンにすると起動完了時に未装着を警告するメッセージが出ますが、確認ボタンを押すだけで特に何もせずにすべての機能が使えます。この場合、ステータスバーの表示は「SIMなし」となります。

    以上を簡単にまとめると、b-microSIMは開通手続き前でもアクティベーションは可能で、その後は通常の利用をしている限り電源のオフ/オンを含めてSIMは装着していても装着していなくても操作性にほとんど差がないということです。

    なお、これまで外出先での通信はイーモバイル社のPocket WiFiを利用しており、SIMは開通手続きをしないままにしているので、開通手続き後の使用感については改めてということでご勘弁ください。
    ちなみに、1カ月契約のb-microSIMは購入から90日以内に開通手続きをしないと利用権が消滅してしまうので注意が必要ですね。

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  7. k.inoueさん
    ありがとうございました!
    もう何て言いますか、疑問だったところが全て理解出来て、しかもめちゃくちゃ分かりやすくご説明していただき、本当に感謝しております。
    また今後も使用していてお気付きの点などアップしていただけると助かります。
    また寄らせていただきます。
    ありがとうございました!
    Reggiano50

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