2011-11-03

Sony Ericsson「Xperia mini pro (SK17i)」Hands-on


Xperia mini proの「Hands-on」というわけで、初めてのAndroid端末として国際バージョンであるSK17iの型番を持つこのガジェットをしばらく利用してみた感想を書いてみることにする。
なお、最初に断っておくがあまり電話キャリアに投資をするつもりは無いので、通信回線は自宅のWi-FiかイーモバイルのPocket WiFiしか利用しないため、3G回線上での利用は一切無いという前提で解釈願いたい。

「Xperia mini pro」は、手のひらに収まるコンパクトさとスライド式QWERTYキーボードを兼ね備える Sony Ericsson社製の Android端末で、ボディカラーはBlackとWhiteの2種類がある。また、それぞれに交換用の背面バッテリーカバーがあり、BlueやPinkに着せ替えることができる。
姉妹モデルとも言える「Xperia mini」は物理キーボードを持たないタイプで、mini proよりさらに薄型、軽量に仕上がっている。この Xperia miniは、日本ではイーモバイルから「Sony Ericsson mini」という愛称(型番は「S51SE」)で発売されたばかりである。
小型モデルとしては、同社の「Xperia X10 mini pro」の後継機に相当し、兄弟モデルにはフルサイズの液晶画面を装備した「Xperia pro」がある。
これらの親戚筋モデルとの比較も少し書いてみることにする。

基本スペックは、サイズが 92.0×53.0×18.0mmで重量は136gで、対角3inchで 320×480ピクセルのタッチパネル式液晶画面を備える。サイズとしては一回り大きい Xperia proが重量では142gと、意外に本機との差がないことが不思議である。画面画素は X10 mini pro → mini pro → proの順で、240×320 → 320×480 → 480×854とかなりの違いがある。この違いから、本機での文字の読取りに難があるのではないかと懸念していたが、液晶の発色が良好なことも手伝ってか視認性はかなり良く、心配する程に目の粗さは目立たなかった。
内蔵の背面カメラは5百万画素クラスで720Pのビデオ撮影も可能となっており、撮影用LEDライトが隣接して配置され、自画撮り用の前面カメラ(VGA相当)も装備する。これも見落としがちだが、Xperia miniには前面カメラが無い。そのため、受話用スピーカー付近のセンサーの配置も mini proと miniでは異なっている。
イヤホンの端子は3.5mmサイズのオーディオジャックで、キャップは無いむき出しの状態である。充電及びデータ転送用にはminiUSBポートが装備されているが、こちらは一点支持タイプのキャップがある。入出力としては、他にBluetoothとWi-Fiの無線通信を内蔵している。
他にFMラジオも内蔵しているのだが、国際バージョンのモデルではカバーする周波数範囲が日本のFM放送とは異なるため、購入時のままでは国内での利用はできない。この問題は、システムの設定ファイルによって解決可能らしいが、SDK環境を持たない自分は今のところチャレンジしていない。

本体の付属品については出荷元によって異なる部分だと思われるが、今回香港発の通販で入手した際の付属品は一つ前の個人輸入の記録に記載しておいたのでそちらを参照願いたい。特にその中には画面保護フィルムも含まれていたのだが、国内販売されていない機種だからこそ入手困難なアクセサリーであり、別途入手する手間が省けて助かった。

次に操作性についてだが、各ボタン類は割とカッチリとしていてヘタリが発生しにくいタイプだと感じた。良く操作するボタンとしては、画面下の中央に物理タイプのホームボタンがあり、その左右にタッチタイプのリターンボタンとメニューボタンがある。このタッチボタンは油断するとうっかり触ってしまいがちなのが残念な所だ。
本体の右サイドには上部にボリュームボタンと下部にシャッターボタンがある。このシャッターボタンは本体を左に傾けてランドスケープ位置にした場合に当然の配置なのだが、そのときに左上に位置することになるボリュームボタンは左が音量アップ、右が音量ダウンとちょっと不自然な配置になってしまっている。ここは本体をランドスケープ位置にした時に上が音量アップ、下が音量ダウンと当たり前の配置になっているのだが、iPhone等のように左サイドにボタンが配置されている場合と逆になるので仕方が無い部分だろう。

他に、本機では背面にスピーカー音の通気口があるが、これが本体下部に近い所にあるために気を付けないと手に持った際に塞いでしまうことになる。
不思議なことに、姉妹モデルの Xperia miniではこの通気口が逆側の背面カメラに近い場所に配置されている。これはバッテリーカバーを外してみると分かるのだが、本機が本体上部から順にmicroSDカードスロット、SIMスロット、バッテリーコネクタ、スピーカーと並んでいるのに対して、Xperia miniはすべて全く逆に並んでいるのである。そんな内部構造にも関わらず、背面カメラは両機でほぼ同じ位置に配置されていると言うのもまた興味のある部分と言える。
本機はスライド式キーボードを装備しているので構造上の制約も大きいと思われるが、なぜほぼ同スペックの Xperia miniの内部構造を大きく変える必要があったのか事情が知りたくもなるというものである。

システムは Android 2.3で、ユーザインタフェースは Sony Ericssonオリジナルのメニューをベースとしている。小さな画面でも短い手順で多くの機能にアクセスできるよう、四隅のポップアップメニューに色々なアプリを登録できるようになっている所が便利で、他にはホームボタンの長押しで最近使用したアプリのリストが表示され、そこから起動させることも可能になっている。このリストは最近の8件分アイコンが並ぶのだが、どうせならもう少し数を増やしても良かったのではないか。
また、待受画面でフリックにより左右に画面を切り換えて、各画面に配置してあるウィジェットを使うことができるが、この画面でピンチインアクションをすると全画面のウィジェットのサムネイルが一つの画面内に集合して浮遊するというアニメーションも秀逸である。ここでサムネイルにタッチすれば、一々画面をフリックしなくてもダイレクトにウィジェットにアクセスできるので時々利用している。

出荷時点でインストールされていたアプリは次の通り。
連絡先、電話、メッセージ、ブラウザ、Timescape、設定、セットアップ、ミュージック、ギャラリー、アラーム、カメラ、Eメール、マーケット、Facebook、カレンダー、マップ、Gmail、トーク、ナビ、プレイス、Latitude、サポート、同期、電卓、TrackID、YouTube、友達の音楽と動画、ニュースと天気、ダウンロード、アプリを取得、ゲームを取得、OfficeSuite、Application Installer、検索、Xperia Hot Shot、音声検索、Conneted devices、Store、WaveSecure、更新センター、FMラジオ、Games by PopCap、拡張検索、Messenger、時計、LiveWareマネージャ、VirusScan、Moxier Pro、UEFA.com。
残念ながら、WaveSecureやVirusScanといったセキュリティ関連のアプリは3G回線経由での端末の認証が必要らしく、Wi-Fiオンリーの環境では利用できなかった。

上記でいくつかのアプリは日本語の名称を用いたが、このようにメニューや説明文も含めて言語を切り換えた際の日本語へのローカライズはかなり行き届いており、日本未発売モデルとは思えない仕上がりに感心した次第である。もちろん共通のプラットホームを持つXperiaシリーズの中には日本発売済みモデルもあるのでリソースは共用しているはずではあるが、個々の機種に依存する部分もあることを考えると手間を惜しまずに対応したことは賞賛に値すると評したい。
そんな高度なローカライズの中で少々残念だったのは、日本語に使用されているフォントが日中韓の漢字文化圏で共用の書体を採用しているらしく、一般的な国内のフォントとは文字形に違いがあることが少々違和感を抱かせてしまう点である。例えば「今」の文字の冠の下は「ラ」のように横棒で表現されるのが普通だが「う」のように点で表現されているのである。他には、もしかしたら文字のカーニングの問題かもしれないが、「直」や「県」のような文字で左側の縦棒が表示されないのも結構気になるところである。

とりあえずはAndroidの使い心地を試すつもりで無料アプリをいくつか使ってみたが、Twitterオフィシャルのアプリでスライド式QWERTYキーボードを使ってテキスト入力しようとしたら日本語入力ができないことに気付いた。普通はキーボードの地球マークのキーを操作してモードを切り換えられるのだが、いくつかのアプリではこれが無効となってしまうようだ。
QWERTYキーボード自体はしっかりしたクリック感があり、ぐらつきも無い使い心地の良いものであるだけに、使えない場面があるのは実に惜しい所である。なお、キーボードに関しては必ず指摘のあるポイントだと思うが、シフトキーのようなモディファイヤーキーはぜひとも左右それぞれに配置してもらいたい。一応、代替手段としてはシフトキーを押してからすぐに離して次に英字キーを押せば大文字が入力できるのだが、やはり同時押しの方が早いわけでして…。

冒頭に書いたように、普段は持ち歩くことで複数のWi-Fi間で切り換えて利用していたのだが、登録済みのWi-Fi圏内に入ってもなかなか無線接続が確立しないことが多く、もう少し接続性を高くして欲しい所だ。ちなみに、比較対象にした iPhone 4では Pocket WiFiを切っておいてスリープ状態で帰宅すると、じきに自宅のWi-Fiに接続されてメール着信通知も確実に行なわれている。

以上、使用したアプリも僅かだし、そもそも電話として利用しいないようなレビューがはたしてどれだけ情報として意味があるのかは微妙だと思うが、まずはファーストインプレッションとして書き残してみたというお粗末まで。